フジサンケイビジネスアイ記事【ニュースの仕掛け人 ザ・PR会社】2007年8月17日


 ■ブルーカレント・ジャパン
 いまビジネスの世界では、広告に代わってPRに注目が集まっている。欧米では広告代理店と同等かそれ以上の信頼をPR会社に寄せる企業も少なくないという。普段あまり表舞台に出てくることのない、知られざる「腕利きPR会社」を紹介していく。
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 最近友人や信頼できる知人、ブログ記事やSNSで話題になったり、新聞やテレビで専門家がすすめていたものなどを参考に買い物をしたことはないだろうか。
 広告より、信頼できる第三者の「インフルエンサー」を活用したマーケティングに注目が集まっている。「インフルエンサー」とは「消費者に大きな影響を与えるマスメディア、専門家、情報発信力のある個人ブロガーなど」を主に指すが、このインフルエンサーを活用したマーケティングをリードするのが、ブルーカレント・ジャパン(東京都中央区)だ。
 同社は2006年8月、民主党などのPRで一躍有名になった外資系PR会社のフライシュマン・ヒラード日本法人(FHJ)から独立。FHJのマーケティングPR部門責任者だった本田哲也氏(37)が社長を務める。
 「国内PR会社でも、マスメディアと専門家や著名人などオピニオンリーダーの活用はあったが、ブログやSNSなどインターネットを中心にしたメディア環境の変化で、影響力のある個人ブロガーを含めた、戦略的な展開は当社が先鞭(せんべん)をつけたと思います」と語る。これまでのPR会社は、どちらかというと企業とマスコミの橋渡し役というイメージが強かった。しかし、マーケティングの世界では広告の衰退とともに“PRの進化形”といえる新手法が登場している。
 インフルエンサー・マーケティングで定義する3つのインフルエンサーは、(1)メディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・ネットメディア)(2)プロフェッショナルインフルエンサー(専門家・有名人・タレント・カリスマモデルなど)(3)個人インフルエンサー(情報発信力をもつ、影響を与える消費者)−がある。
 ≪個人がカギ≫
 同社と大手日用品メーカー、P&Gとの共同調査によると、個人の5人に1人がインフルエンサーという実態が明らかになった。本田氏は、「3つのインフルエンサーの中の新参者である個人インフルエンサーを、メディアやプロフェッショナルなど他のインフルエンサーといかに連動させるかが、カギを握る」とノウハウの一端を明かす。
 最近の事例では、フィリップス社の脱毛器のPRがある。
 脱毛器は季節商品で、短期間で消費者に存在を知らせることが課題だ。主なターゲットとなる20代女性に影響力が大きいと思われた昨年度ミス・ユニバース日本代表の知花(ちばな)くららさんをキー・インフルエンサーに設定。ターゲットに影響力の強い34人の女性ブロガーを招待し、知花さんも参加したブロガー向けイベントを開催した。参加したブロガー全員が商品に対する好意的な記事を書き、1週間で30万ページビューを獲得。人気女性誌をしのぐ情報浸透度を短期間に達成した。
 「インフルエンサー・マーケティングを成功させるには、影響力のある第三者をいかに引き込めるか。企業側の、やらせや商品情報の提供、サンプリングなどではなく、“共感”“関心テーマの設定”“参画の場の提供”がポイント」(本田氏)と言い切る。
 専門家マネジメント会社やネット系企業などと業務提携を進めながら、従来のPR会社が対象にしていた広報部門ではなく、宣伝・マーケティング部門との取引で業務をさらに拡大していく方針だ。(バンブークリエイティヴ代表 竹村徹也)
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【プロフィル】本田哲也
 ほんだ・てつや 1970年福島県生まれ。セガの海外事業部を経て、99年フライシュマン・ヒラード日本法人入社、2004年バイスプレジデント。06年8月ブルーカレント・ジャパン設立に伴い社長就任。月刊PRIR(宣伝会議)主催「PRコンサルタントオブザイヤー2005」優秀賞受賞。共著に「影響力」(ダイヤモンド社)。
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【プロフィル】竹村徹也
 たけむら・てつや 1962年東京都生まれ。ニュース・クリエイター、PRコンサルタント。上場企業で研究開発・マーケティング業務担当後、PR会社を経て、2007年バンブークリエイティヴ(TEL03・5468・6158)を設立。ブランディング・マーケティングとの統合、専門家のPRなどに強み。著書に『儲かる会社はNewsづくりが上手い』(実務教育出版)がある。

 

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